母の病から学んだ家族の距離感 〜愛情を支える「ちょうどいい」空間設計〜
【ゆうやんからのメッセージ】
母が病に倒れた時、私は「家族の距離感」の大切さを痛感しました。近すぎても遠すぎてもいけない。お互いを思いやりながら、それぞれの時間も大切にできる。そんな「ちょうどいい」距離感が、家族の絆を深めるんです。この記事では、私の経験から学んだ「家族が支え合える家づくり」の秘訣をお伝えします。
はじめに:家族の「つながり」と「独立」のバランス
「家族はいつも一緒にいるべき」という考え方は、一見美しく聞こえます。しかし、実際に家族の誰かが病気になったり、介護が必要になったりした時、この「距離感」の設計が家族全体の幸せを左右することに気づきます。
私(ゆうやん)が母の看病を通して学んだのは、「愛情は距離ではなく、配慮で測られる」ということでした。
母の病が教えてくれた3つの気づき
1. プライバシーの確保が尊厳を守る
【体験談】母の小さなプライド
母は病気になっても、「お母さん」でありたかった。体調が悪い姿を子どもたちに見せたくない日もありました。でも当時の実家は、音も筒抜け、プライバシーもない。母が一人で泣いている声が聞こえてきて、でも入っていけない。そんな時、「もっと配慮のある間取りだったら」と悔やみました。病気の家族にも、健康な家族にも、それぞれの時間と空間が必要なんです。
2. 動線の重要性は想像以上
健康な時には気にならない「ちょっとした段差」や「遠いトイレ」が、体が弱ると大きな負担になります。母の病気を機に、私は家の中の動線を徹底的に見直しました。
- 寝室からトイレまでの距離:夜中に何度も起きる時、この距離が体力を奪います
- 手すりの有無:「まだ必要ない」と思っていても、急に必要になることがあります
- 床の素材:滑りにくく、万が一転んでも衝撃を吸収する素材選びが大切
3. 家族が集まれる場所の価値
【体験談】リビングでの小さな幸せ
体調の良い日、母はリビングのソファで過ごすのを楽しみにしていました。キッチンで料理をする私の姿を見ながら、孫と遊ぶ声を聞きながら、「家族の一員」であることを実感できる。そんな「つながり」を感じられる空間があることで、母の表情は明るくなりました。個室での療養も大切ですが、家族を感じられる共有スペースの設計は、心の健康にとって欠かせません。
実践!家族の距離感を考えた間取りアイデア
1. 「見守れる独立」を実現するゾーニング
1階に親世帯、2階に子世帯という完全分離ではなく、「ゆるやかにつながる」設計がおすすめです:
- リビングは共有、寝室は離れた位置に配置
- キッチンから全体が見渡せるオープンな設計
- 必要に応じて仕切れる可動式の間仕切り
2. 将来を見据えた「可変性」のある設計
今は元気でも、10年後、20年後を想像した設計が大切です:
- 1階に1部屋は将来の寝室として使える部屋を確保
- 廊下やドアの幅は車椅子が通れるサイズに
- 水回りは1階に集約し、将来のリフォームに備える
3. 心のケアを考えた「居場所」づくり
💡 設計のポイント
- 大きな窓のある明るい空間(自然光は心を癒します)
- 庭や緑が見える配置(季節の変化を感じられる)
- 家族の気配を感じながらも、一人になれる小さなスペース
- 好きな音楽を聴ける防音への配慮
母の病から学んだ「本当に大切なこと」
母の看病を通して、私は「家」の本質を学びました。それは、単なる「建物」ではなく、「家族の物語を紡ぐ舞台」だということです。
【ゆうやんの想い】
母は今も元気でいてくれています。あの経験があったからこそ、私は「心を建てる」という理念にたどり着きました。家族の誰かが弱った時、その家は「支え合いの砦」になれるか。元気な時も、そうでない時も、すべての家族メンバーが尊重される空間になっているか。そんな視点で家づくりを考えることが、本当の意味での「終の住処」を作ることだと信じています。
まとめ:愛情は「配慮」に宿る
家族の距離感を考えた家づくりは、決して「今」だけを見てはいけません。若い時、年を重ねた時、元気な時、そうでない時。すべてのライフステージで、家族一人ひとりが尊重され、支え合える。そんな「ちょうどいい距離感」を持った家こそが、真の意味で家族を幸せにします。
母の病は辛い経験でしたが、それが私に「本当に価値のある家づくり」を教えてくれました。この経験を、これから家を建てる皆様の参考にしていただければ幸いです。
この記事はシリーズの一部です。
➡️ 心を建てる家づくり 〜三度の挫折を乗り越えた建築人が語る、家族の幸せを実現する住まいの哲学〜